「AIを活用する編集者がライターの仕事を奪う」NVIDIAフアンCEOの「予言」は本当だった

一人何役もこなす「ネオひとり編プロ」の時代
「ネオひとり編プロ」
いったいどんな意味なのか。
最近、「AIで生産性をとんでもなく伸ばした」というライターや編集者の方に出会う機会が増えてきました。(中略)たった一人で何十本もの記事を書いたり、複数のプロジェクトを同時に進行したりと、通常なら何人もの編集者やライターが必要な量の仕事を、たった一人でこなしている人たち。(中略)適切な表現が分からなくてAIに聞いてみたところ、【ネオひとり編プロ】と言ってみるのはどうか」と言われ、まさにそんな感じ…なのかな。
編プロ、すなわち、編集プロダクションとは、メディアを運営している企業から記事などのコンテンツ制作の仕事を受注して、編集作業を行う存在を指します。これまでは編集者・ライター・カメラマン・デザイナーなどのチームで動くことが普通でした。
実際に記事を制作する場合も、社内または外部のライターに原稿の執筆を依頼して、編集者がそれをチェックして完成品に仕上げていくというプロセスが取られていました。
しかし、ChatGPTやClaudeなどの生成AIの登場で、その景色が変わりつつあります。
この記事でまむしさんが述べているように、人間のライターではなくAIに一次原稿を書いてもらい、それを手直しすることで、一人で大量の記事を作り出す。そんな「ネオひとり編プロ」が増えているというのです。

イラスト作成機能が大きく向上したChatGPTに、一人で大量の記事を生産する「ネオひとり編プロ」のイラストを描いてもらった
AIを駆使して「ライター100人分」の仕事をこなす
実際のところ、ネオひとり編プロは、どのようにして記事を作っているのでしょうか。
Yahoo!ニュースで約1000件のコメントがついたJ-CASTニュースの記事があります。
ネットメディアの事情に詳しい編集者のUさんが書いたという記事。そこで紹介されているのは、かつて100人以上のクラウドワーカーを抱えていたが、いまは「外部ライターはまったく使っていない」というコンテンツマーケターAさんの仕事ぶりです。
朝イチでその日に作成する記事カテゴリーを決めて、生成AIにアイデアを投げかけると、一瞬で15本くらいの案があがってくる。その中からめぼしいものをピックアップしてフィードバックし、その日の10本のタイトルと構成を体系的に磨き上げる。これでだいたい1時間くらい(中略)その後は1本あたり30分から1時間で、記事の作成からシステムへの入力までを済ませる。それをもう1人の担当に回すと、画像生成AIで原稿内容を反映した画像を記事に貼り付けて公開する。
記事によると、Aさん一人で「以前と同じ以上の質と量の記事を書くことができている」というのだから驚きです。AIを駆使することによって「百人力」の成果をあげている。これぞ「ネオひとり編プロ」を象徴するケースといえるでしょう。

ChatGPTが描いた「AIに依頼して記事を書いてもらっている人」のイラスト
「AIが君の仕事を奪うのではない」という言葉の真意
ネオひとり編プロをめぐる二つの記事を読んで思い出したのが、AIブームを牽引するアメリカの半導体企業「NVIDIA」のジェンスン・フアンCEOの言葉です。
「AIが君の仕事を奪うのではない。AIを活用する人が君の仕事を奪うんだ(AI is not going to take your jobs. The person who used AI is going to take your job.)」
フアン氏は、米コロンビアビジネススクールのトークイベントで、聴衆に向かってこう告げました。その様子は、2年前の秋に公開されたYouTubeの動画で見ることができます。
「AIを活用する人が君の仕事を奪う」と告げたフアン氏の表情
発言は、開始から38分後に飛び出しました。そのときのフアン氏の表情が印象的です。