【セミナー動画】AI時代の「コンテンツ制作」ライター・編集者の仕事はどう変化するのか?

5月21日の夜、<AI時代の「コンテンツ制作」ライター・編集者の仕事はどう変化するのか?>と題したオンラインセミナーを開催しました。
講師は、アクセンチュアでのメディアコンサルティング、日本経済新聞の記者・編集、リクルートの編集者という異色の経歴を持ち、現在は沖縄を拠点にフリーランスで活動するジャーナリスト/コンテンツディレクターの富谷瑠美さん。
企業への生成AI導入支援の実務と、コンテンツ制作の現場、両方の経験を持つ講師ならではのリアルで具体的な内容でした。
そのアーカイブ動画と参考資料を、あしたメディア研究会のサポートメンバー限定で公開しています。この記事の最後から視聴できますので、ぜひご覧ください。
「生成AIでつまずく人」の3パターン
富谷さんが、これまでの生成AI導入プロジェクトの経験から指摘したのが「つまずく人の3パターン」です。

拒絶型:「AIに仕事を奪う敵」と決めつけて、積極的に利用を拒む人
見下し型:少し使ってみただけで「AIは質が低い」「使えない」と結論づけてしまう人
崇拝型:過大に期待して「AIがあれば人間はいらない」と夢想してしまう人
これらに共通するのは、「AIをまだ道具として扱えていない」という点だと、富谷さんは指摘しました。
「プロンプト」でAIのアウトプットは激変する
セミナーでの最大の見どころは、プロンプト(指示文)の書き方によってAIの「執筆」の結果がどれほど変わるかという具体例の紹介です。
「生成AIに関するトレンドを400文字でまとめて」という“一行プロンプト”と、読者層・媒体スタイル・トーン・出力形式まで丁寧に指定した“高品質プロンプト”を比べると、出力される文章の質がまったく違います。
後者では、直近の統計データを引用しながら、記事の素材として使えるレベルの内容が整理された形で出力されました。

「記者や編集者って、こういう指定を頭の中で当然のようにやっているはず。それをAIにもきちんと伝えるだけなんです」という富谷さんの言葉が印象的でした。
また、役割を指定した「編集」の具体例も興味深いものでした。ただ単に「以下の記事を編集して」と投げるだけの指示と「日経BPのデスクとして記事に指摘を入れて、日経ビジネステイストに編集して」と役割を与えた指示では、まったく異なる反応が返ってきます。
後者では「このままでは出せません」という厳しい指摘とともに、固有名詞ゼロ・感想文レベルの内容を根本から問い直す意見と代替案が出てきました。
ファクトチェックに役立つ「この一文」
記者・編集者が特に注目すべきポイントとして、富谷さんが強調したのがプロンプトへの「最新情報を検索して」という一文の追加です。

生成AIにはカットオフ(学習データの締め切り)があるため、何も指定しないとAI自身の古い内部データをもとに回答してしまうことがあります。
紹介例では、ある企業の評価額を確認する際に、検索指示なしでは古い数字が提示されたのに対し、検索指示ありでは最新情報にアクセスして正しい数字と出典URLが示されました。
さらに「一次情報を優先」「出典URLを明示」「確認できなかった項目は未確認と表記」といった指示を追加するのが、ファクトチェックに有効だと、富谷さんは指摘していました。
AI時代のキャリアは「名刺3枚」で考える
最後のパートでは、ライター・編集者が今後どうキャリアを組み立てるかについて、富谷さん自身の経験をもとに見解を語りました。
富谷さんが勧めるのは「名刺を3枚持つ」という発想です。本業の会社員としての名刺、副業の名刺、そしてボランティアなど別の領域での名刺。スキルを掛け合わせることで「この人にしかできないこと」が生まれ、それが個人としてのブランド力につながるといいます。

具体的には、「社内のAI導入プロジェクトに参加してプロジェクトマネジメントの経験を積む」「英語力をつけて海外のAIトレーニング案件を副業で受ける」「noteなどのプラットフォームで個人発信をする」といった選択肢を挙げていました。
富谷さんが最初にコンサル業界を選んだのは、大学時代の先輩の過労死という経験がきっかけだったといいます。「メディアもビジネスができなければ持続しない。それを見せつけられた」という言葉は、単なるAI活用論を超えた、メディアの構造問題への問題意識として響きました。
今回のセミナーでは、ここで紹介したポイントを中心に、富谷さんが実体験をもとにAI時代のコンテンツ制作の現在地と、編集者・ライターの仕事の変化を語ってくれました。
ご興味のある方は、ぜひ、以下からアーカイブ動画と参考資料をご覧ください。
