登録者25万人「社会課題」を1分で伝えるYouTuber
「地球温暖化やフードロスといった社会課題をわかりやすい動画で伝えている人気YouTuberがいる」
大手通信社のYさんからそんな話を聞きました。「RICE MEDIA」という名前のYouTubeチャンネルを見にいくと、20代と思われる若い男性が軽快に語る動画がたくさんアップされていました。
日本で最も海ゴミが漂着する島を紹介するショート動画。600万回以上再生されている。
動画のテーマは、海洋ゴミやCO2排出量、食品ロスなど、地球規模で喫緊の課題となっているものばかりです。その課題を象徴する現場を訪ねたり、自分で体験してみたりした様子を軽妙な動画にまとめ、配信しています。
チャンネル登録者数は、2023年3月28日の時点で24.6万人。再生回数はショート動画が特に多く、最も多い<世界で「泥水」が販売された理由」>という動画は738万回、<小学生のランドセル「重すぎる問題」を体験してみた>は677万回、そして、<日本で最も海ゴミが漂着する島>は656万回でした。
どれも真面目な社会課題がテーマなのに、こんなにも多く見られているというのが驚きです。運営しているのは、27歳のトムさん。本名は廣瀬智之さんといいます。
報道写真家から社会起業家へ
廣瀬さんはもともとジャーナリスト志望。大学時代から東南アジアやアフリカなどの課題が山積している地域へ赴き、取材活動を始めました。
しかし報道写真家として発信するうちに「伝えることは大事だけれど、ただ伝えるだけでは問題の解決には遠すぎる」と考えるようになり、方向転換。社会起業家になりました。
自ら会社を立ち上げて、社会課題を伝えるニュースアプリを作ったり、学校向けにシチズンシップ教育のプログラムを提供したりと、精力的に活動してきた廣瀬さん。
現在注力しているのが、YouTubeやInstagramで動画コンテンツを発信する「RICE MEDIA」。キャッチコピーは「1分で社会を知るメディア」です。
2022年7月に連続公開した「1カ月プラなし生活」シリーズの動画は反響が大きく、トータルで2800万回も再生されました。
その後、福岡のテレビ局が廣瀬さんを取材し、その言葉を紹介しています。
「プラスチックが悪だとは思っていません。一方で、引き起こされている問題があることも事実。(プラスチックを)減らしていくことが大事だし、どう付き合っていくのかが大切だと思っています」
さまざまな社会課題について、自らの感覚や体験を「1分間の動画」を通して伝えていく発信スタイル。そこには、新しい時代のジャーナリズムのヒントがあるように思います。
あしたメディア研究会では、そんな廣瀬さんをゲストに迎えてオンラインセミナーを開催します。
セミナーでは、廣瀬さんにRICE MEDIAを立ち上げた経緯や急成長の秘密を聞きながら、若い世代に向けて「社会派コンテンツ」を届けるときに心がけているポイントを語ってもらおうと思います。
3月29日(水)20時から。興味がある方は、こちらのページをご覧ください。
あしたメディア研究会 亀松 太郎
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