【セミナー動画】新聞に「エモい記事」は必要か? 47年前の朝日「社内報告書」を読みながら考える

新聞に「エモい記事」は必要か? そんな問いがメディア関係者の間で話題になっています。実は、今から半世紀前にも同様の議論がありました。1977年に作成された朝日新聞の社内報告書が「夕刊には感覚的要素が必要ではないか」という提言をしていたのです。当時の文書を読みながら、新聞と「エモい記事」の関係について考えます。
あしたメディア研究会 2024.09.01
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2024年8月31日に開催したオンラインセミナーのアーカイブ動画を公開しました。タイトルは<新聞に「エモい記事」は必要か? 47年前の朝日「社内報告書」を読みながら考える>です。

あしたメディア研究会のサポートメンバー限定で視聴できます。

こんなタイトルの記事が今年3月、朝日新聞デジタルに掲載されました。筆者は、社会学者の西田亮介さんです。

西田さんは、エピソード主体で、データや根拠の裏付けが乏しい「ナラティブで、エモい記事」が最近、新聞の紙面で増えていると指摘しながら、「もっと読むべき、掘り下げるべき出来事が世界にはあふれていないだろうか」と問題提起しました。

このオピニオン記事がメディア関係者を中心に反響を呼びました。西田さんに共感を示す声が広がった一方で、朝日新聞の内部からは「エモい記事のどこが悪い?」と反発する声もありました。

「エモい記事」は半世紀前から問題になっていた

新聞と「エモい記事」の関係について、どう検討したらいいのか? そんなことを考えているとき、たまたま、朝日新聞の調査研究室が1977年にまとめた社内報告書を目にする機会がありました。

「夕刊の紙面と経営の方向」と題された古びた小冊子。これは、新聞読者の「夕刊離れ」に危機感を抱いた朝日新聞の社員たちが、夕刊がどのように読まれているのかを詳しく調査し、それをもとに今後の方向性について具体的に提案している報告書です。

興味深いのは、その提言のトップに「感覚的要素」というキーワードが掲げられ、次のように記されていたことです。

「感覚的」「情緒的」って、いま風に言えば「エモい」ということでしょう。なんと約半世紀も前の社内報告書で、「夕刊はエモい記事を載せるべきだ」という提言が打ち出されていたというわけです。

もちろん、この提言はあくまでも「夕刊のあるべき姿」に関するものであって、朝刊については、従来通りの「理知的」「論理的」な路線が望ましいという姿勢だったのだとみられます。

しかし、半世紀近く前の新聞社で、「エモい記事」をめぐる議論がおこなわれていたというのは、興味深い事実といえるでしょう。

新聞と「エモい記事」の関係について考えた

というわけで、8月最後の土曜の夜に、<新聞に「エモい記事」は必要か? 47年前の朝日「社内報告書」を読みながら考える>と題したオンライントークイベントを開催しました。

参加者のみなさんからは、チャットを通じてさまざまなコメントが寄せられ、新聞などのメディアにおける「エモい記事」の位置付けについて考える良い機会となりました。

「エモい記事」との関わり方に興味がある方は、ぜひ、ご覧いただければと思います。

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