NHK朝ドラ「らんまん」と「新聞の葬式」の不思議な関係

NHKの連続テレビ小説「らんまん」で、主人公の槙野万太郎(=モデルは植物学者・牧野富太郎)が自由民権運動に参加するシーンが描かれました。ドラマの舞台である土佐は、自由民権運動の拠点となった土地。そこではかつて、言論の自由に絡んで「新聞の葬式」が挙行されました。
あしたメディア研究会 2023.04.27
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植物学者・牧野富太郎の生涯を描くNHKの朝ドラ「らんまん」。

主人公(ドラマ名・槙野万太郎)を演じる神木隆之介さんのキャラクターもあって、ドラマはほのぼのとした雰囲気で展開していましたが、今週になって、にわかに騒がしい政治の話が入ってきました。

明治時代の自由民権運動です。

ドラマの舞台となっている土佐は、「板垣死すとも自由は死せず」で有名な板垣退助の出身地です。4月26日放送の「らんまん」では、民権家の早川逸馬が登場。「自由がなければ、人は生きちょっても仕方がない!」と民衆に向かって演説するシーンが描かれました。

その場に遭遇した万太郎が、思わず反論するような言葉を発してしまい、早川逸馬に問い詰められる・・・というふうにドラマは進んでいきます。このシーンを見て、「自由は土佐の山間より出づ」という言葉を思い出しました。

「自由は土佐の山間より出づ」

9年前のゴールデンウィークに高知で開かれた「ジャーナリストキャンプ2014」(JCEJ主催)で聞いた言葉です。

ジャーナリストキャンプとは、新聞や雑誌、ネットメディアなどで働く記者や編集者が集まって、2泊3日の合宿形式で取材をともにしながら、それぞれの成長のヒントを探る場。いまは休止中ですが、石巻や浜松、いわきと場所を変えて実施されていました。

2014年は、そのジャーナリストキャンプが高知で開催されたのです。

「自由は土佐の山間より出づ」という言葉は、このキャンプの企画会議で飛び出しました。会議の様子を紹介する記事には、この言葉を刻んだ高知市内の石碑の写真が掲載されています。

自由といえば、民主主義社会で特に重要とされるのが「言論の自由」。自由民権運動が盛んだった高知で、ジャーナリストが集まって合宿をするのは面白いなと思った記憶があります。

高知で挙行された「新聞の葬式」

その高知で1882年(明治15年)に「新聞の葬式」という奇妙なイベントが実施されました。

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